唇裂外鼻変形(唇裂鼻)とは — 口唇裂に伴う鼻の変形について

口唇口蓋裂に伴う鼻の変形は「唇裂鼻」と呼ばれ、鼻先の下垂や鼻孔の左右差などを特徴とします。

幼少期に行われる口唇裂の手術によって基本的な鼻の形は作られますが、変形が残ることも少なくありません。そのため、成人期に鼻の形を整える手術を希望される方も多くいらっしゃいます。

唇裂外鼻変形

このようなお悩みはありませんか?

もともとの口唇裂の状態や、これまで受けてこられた手術によって異なりますが、次のようなお悩みがみられます。

・左右で鼻の穴の大きさや形が違う

・小鼻の付け根が外側・下側にずれている

・鼻の穴のふちが下がっている

・鼻先が垂れ下がっている

・鼻筋が曲がっている

・鼻の通りがよくない

口唇口蓋裂に伴う唇の変形

また、鼻だけでなく、唇にも次のような変形が残ることがあります。

・正面から見ると唇が少し引っ張られ、持ち上がったように見える

・唇の一部にくぼみがある

・唇の厚みやふくらみが足りない

診察・検査で確認すること

まず、現在のお悩みや、どの部分をどのように改善したいかを伺います。あわせて、これまでの手術や矯正治療の経過を確認します。

診察では、鼻全体のバランスに加え、鼻の穴の形、小鼻の位置、左右の鼻の穴を隔てる鼻柱、鼻先、唇の形を確認します。顎の骨格や噛み合わせを含め、お顔全体との調和も評価します。

CTやMRIを撮影し、鼻の内部構造や、鼻の土台となる骨の形・左右差を確認します。鼻づまりなどがある場合には、耳鼻咽喉科と連携し、内視鏡による鼻の内部の評価を行うこともあります。

手術方法と治療方針

鼻と唇のバランスを考えて治療します

変形の状態とご希望を踏まえ、鼻のみを修正するか、唇の修正も同時に行うかを検討します。

主に、鼻の穴の左右差、鼻の曲がり、鼻先の下垂などの改善を目指します。鼻の骨格だけでなく、鼻の内側の組織や表面の皮膚の状態も確認し、それぞれの変形に応じた方法を選択します。

鼻と唇の位置関係を整えるために、以前の口唇裂手術の傷跡に沿って切開し、組織を配置し直すこともあります。

ご自身の組織を用いて形を整えます

鼻の形を支えたり、不足する組織を補ったりする材料として、人工物ではなく、ご自身の組織を用いる方針をとっています。

必要に応じて、肋軟骨(胸の軟骨)、耳介軟骨(耳の軟骨)、鼻中隔軟骨(左右の鼻の穴を隔てる軟骨)、真皮脂肪(皮膚の深い層と脂肪)を使用します。必要な量や支える力、採取部位への負担などを考慮して選択します。

ご自身の組織を用いる場合にも、感染や変形、採取部位の傷跡などのリスクはあるため、術前にご説明します。

保険診療と自費診療について

保険診療では、口唇裂に伴う鼻の変形に対し、主に鼻の穴の左右差、鼻の曲がり、鼻先の下垂の改善を目指します。

鼻先の細かな形や鼻筋の高さなど、口唇裂に伴う変形の修正に加えて美容的な調整をご希望の場合には、自費診療となることがあります。

保険適用の可否や治療の範囲については、変形の状態とご希望を確認したうえで、診察時にご説明します。

治療症例のご紹介

鼻の穴の左右差、鼻先の下垂、小鼻の付け根の位置のずれなどに対する治療例を各症例ページでご紹介します。

各症例のページでは、術前の状態、手術方法を選んだ理由、術後の変化について解説しています。変形の程度や過去の手術歴は一人ひとり異なるため、治療方法や得られる結果にも個人差があります。

手術時期・術後の経過・リスク・費用

手術の時期

本格的な鼻の修正手術は、原則として、お顔の骨格の成長が落ち着いてから行います。成長の状態や、矯正治療・顎の手術の予定なども踏まえて、適切な時期を検討します。

入院と術後の経過

手術は入院のうえ、全身麻酔で行います。手術内容や術後の状態によりますが、術後2日目以降に退院できることが多いです。

術後約1週間で抜糸を行います。それまでの間、鼻を保護するギブスを装着していただく場合があります。

ギブスや傷を濡らさないよう、洗顔・洗髪には制限があります。顔を濡らさずに美容室などで洗髪していただくことは可能ですが、具体的な方法や開始時期は退院時の説明に従ってください。

その後は、術後1か月、3か月、半年、1年を目安に経過を確認し、必要に応じて2年以降も経過観察を行います。

治療で目指すことと、その限界

唇裂鼻では、骨や軟骨の形・位置の左右差に加え、皮膚や鼻の内側の組織の不足、過去の手術による傷跡などが関係しています。

そのため、手術によって完全に左右対称にすることは難しく、左右差や変形が残る場合があります。残っている組織を生かしながら、鼻・唇・お顔全体のバランスを整えることを目指します。

術後の経過やご希望によっては、追加の修正手術を検討する場合もあります。

主なリスク

出血、血腫、腫れ、感染、痛み、しびれ・感覚の変化、違和感、傷跡、後戻り、左右差や変形の残存、鼻づまりの残存・悪化などがあります。

使用する組織や手術方法によってリスクが異なるため、診察時に個別にご説明します。

肋軟骨を使用する場合

肋軟骨は、鼻の形を支えるための重要な材料として用いられます。採取後には痛みが生じることがあります。痛みをできるだけ抑えるため、周囲の組織への負担に配慮した採取方法を工夫するとともに、適切な鎮痛薬を使用します。

痛みは通常、1~2週間ほどかけて徐々に和らいでいきますが、程度や持続期間には個人差があります。また、まれに気胸が起こる可能性があります。

費用について

保険適用の可否、手術内容、入院期間などによって費用が異なります。診察後に、予定する治療と費用の目安をご案内します。

受診・ご相談について

診察をご希望の方は、NTT東日本関東病院の形成外科・鄭外来を受診してください。

唇裂鼻の修正手術は、これまで受けてこられた治療の積み重ねを踏まえて行うものです。治療経過が分かる資料や紹介状をお持ちいただけますと、手術計画の参考になります。資料がお手元にない場合も、ご相談いただけます。

これまでの治療を大切にしながら、今後どのような改善を目指せるか、一緒に考えていきたいと思います。どうぞお気軽にご相談ください。

・NTT東日本関東病院の受診・予約案内

・NTT東日本関東病院の唇裂鼻の解説ページ

この記事の監修医師

本ページ「唇裂外鼻変形(唇裂鼻)とは — 口唇裂に伴う鼻の変形について」に関する内容は、外鼻形成術および口唇裂手術を専門とする医師が監修しています。

鄭和卿プロフィール写真

鄭 和卿

NTT東日本関東病院 形成外科

経歴

2018年 慶應義塾大学医学部卒

2018年 聖路加国際病院 初期研修

2020年 聖路加国際病院 形成外科

2023年 東京都立小児総合医療センター 形成外科

2024年 聖路加国際病院 形成外科

2025年 NTT東日本関東病院 形成外科

所属学会

日本形成外科学会

日本頭蓋顎顔面外科学会

日本美容外科学会(JSAPS)

日本鼻科学会

発表・執筆・論文実績

  • 2026年10月

    形成外科専門雑誌『PEPARS, No.238, 口唇裂二次修正術 私の手術』にて論文掲載

    「鼻腔形態から考える唇裂外鼻形成術」

  • 2026年10月

    第65回日本鼻科学会総会・学術講演会にて登壇

    「Preservation Rhinoplastyの概念を応用した斜鼻・鼻中隔弯曲症治療」について発表

  • 2026年6月
    ライノプラスティー研究会主催「ライノプラスティーフォーラム2026」において、セッション「唇裂鼻の治療戦略」の座長を務める。
    また、セッション「斜鼻の診断と修正術」の講師を務め、「斜鼻・中隔湾曲症治療におけるPreservation Rhinoplasty」について発表。

  • 2026年4月
    日本形成外科学会総会・学術集会にてシンポジスト登壇
    「唇裂鼻の鼻孔対称性の確立を目指して -Rim Reset IncisionとTube Theoryを用いたReverse-Uへの挑戦-」について発表

  • 2025年10月
    医師向け専門書『外鼻形成術』を執筆
    (編集:ライノプラスティー研究会/代表編集:大竹尚之先生)

  • 2024年11月
    日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会にてシンポジスト登壇
    「唇裂鼻治療における鼻腔内組織量を整える」について発表

  • 2024年10月
    ライノプラスティー研究会主催「ライノプラスティーセミナー2024」にて講演

  • 2024年9月
    日本形成外科学会会誌に論文掲載
    「顔面症例写真撮影における最適な機材および設定」

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