唇裂外鼻変形の症例1
(右完全唇顎口蓋裂)

概要

この方は「完全唇顎口蓋裂」と診断され、口唇裂、口蓋裂、顎裂の手術を受けています。幼少期に唇や鼻の修正手術も行われましたが、左右差が残っており、口元や鼻の形を整えることを希望して来院されました。

上段:術前 下段:術後1ヶ月

術前診察および分析

口唇口蓋裂に伴う外鼻変形では、特に正面や下方から見た際に、口唇裂側の鼻孔縁が下がっていることが多く認められます。このような鼻孔の左右差は、通常の外鼻形成術で用いられる一般的なテクニックだけでは十分な改善が難しく、唇裂鼻変形に特有の術式を選択することがあります。

また、多くの症例では、この方のように側面から見ると鼻先が下垂している傾向があります。そのため、手術では鼻尖を適切に挙上し、横顔のバランスを整えることも重要なポイントとなります。

唇については、最初の手術の際に「口輪筋」という唇の筋肉のつながりが十分に整えられていなかったため、本来は自然に盛り上がるはずの人中稜の部分が凹んで見えています。

また、初回の口唇裂手術で唇裂側の唇の長さを十分に整えることができなかった影響で、正面から見ると唇が少し引っ張られ、持ち上がったように見えます。

手術治療

鼻孔の左右差や鼻先の位置を改善する目的で手術を行いました。今回は操作範囲が比較的限られていたため、表面の皮膚に傷を作らない「クローズド法」を選択しています。

手術では、肋軟骨から作成した軟骨片を用いて鼻中隔軟骨を延長し、その先端に鼻翼軟骨を固定することで、下がっていた鼻先を持ち上げました。また、下から見た際に唇裂側の小鼻が沈み込んでいたため、肋軟骨のブロックを移植して小鼻の位置を持ち上げています。さらに、鼻の中の組織や皮膚のバランスを整えることで、鼻孔の左右差を改善しました。

唇については、口唇裂の修正手術を行うことで、正面から見た際に唇が持ち上がって見える状態を改善しました。また、「口輪筋」という唇の筋肉をしっかりとつなぎ直しながら、本来あるべき自然な人中稜の形も再現しました。